パパと長男くんの2月5日

2024年2月9日金曜日

入試

さよなら中学受験

4日間で5回の試験を受けた長男くん。

合格もいただけていたものの、途中の熱望校の受験では「過去最高」と本人が評するほどの出来での不合格。
あれだけ呆然としていたところを初めて見た。

それでも、翌日への気持ちを取り戻し、出来る限りの対策をした上で、2月4日の受験へと挑んだ。

その最後の結果を、親子で受け止める。

ゆっくりの朝

2月5日は月曜日。

二男くんは久しぶりに学校へ。
彼も彼で、制限された生活を我慢してくれてありがとうね。

長男くんも学校に行っても良かったんだけど、欠席した。
発表は午前だけど、遅刻で行くというのもなぁ。
2月1日から続く受験で、疲れていないわけもないだろうし。

時間までは心起きなくドラクエをしている長男くん。
でも、ソワソワとしているな。

だろうね。
私もだからね。

分かっていて、その話題に触れるというのも野暮というもの。
キャッキャとドラクエの話をしながら、その時を迎える。

結果の確認

「はじめは自分で見たい」

変わらずそう言う、長男くん。

いいぞ。

でも、今日の確認はさ、家でPCでだから。
自分で操作はしてもらっていいけど、多分、見るのは、パパとママも同時だよ。

なんなら、席を外してもいいけどさ。

「…いや、いいよ。一緒に見よう」

うん。
じゃ、受験番号と、パスワード入れるよ。
…はい、どうぞ。

あとはマウスで、ボタン押せば、結果発表だよ。

「わかった」

「ふー」と一息をついて、クリックすると。

灰色の、「残念ながら」。

…ダメ、だったか…。

「残念、だな…」

悲しそうな長男くん。

そんな彼の肩をまた抱きしめる。

あぁ、でも、よくやったよ。
最後の最後まで、よく頑張った。
立派だった。

「うん、やれるだけ、やれたよ」

もちろん笑顔ではなかったけれど、しっかりとした口調で答える長男くん。

妻も声を掛ける。

「ホントに、よく、頑張ったよ。惜しかったね…。長男くんがそんなに頑張れる子だなんてママ思わなかったよ…。3年間、お疲れさま」

最後の方は、涙声だ。
母が泣くのをあまり見たことがないせいか、長男くんが少しびっくりしている。

「うん、惜しかったなー。イケるかもって思ったんだけど」

そうだなー、いいところまではいったんだろうけど。
やっぱ、算数が普通って出来だったって言ってたから、そこがちょっときつかったのかね。

「普通って言っても、ちょっと前の普通よりも良かったと思うんだけどなー」

お前、最後の方、すっごい算数伸びたからなぁ。
実際、パパびっくりしてたよー。

そんな風に感想を言い合う。
2日の結果のときよりはしっかり話せているな。

手応えがそこまでよくなかったのか、あるいは、より強くなったのか。
前者だとしても、たいした成長だ。

その後、日能研への報告を終え。
長男くんの中学受験が終わった。

蛍雪の功

結局、長男くんの受験結果。

1日午前:〇
1日午後:〇
2日午前:×
3日午前:〇
4日午前:×

あとは1月校が2校合格、1校不合格。

結果だけ並べてしまえば、なんて簡単に書けてしまうんだろう。

でも、どの受験日もどの合否確認も、今となっては大切な思い出。
怒涛のように過ぎ去ってしまったけれど、スリリングで、感動的で。

全部が全部、この1ヶ月でのことだったんだな…。
濃密な日々だった。

1年くらい経ったら、長男くん自身はどうだったのか、もう少し聞いてみようかな。
そんな風に振り返ることが出来たらいい。

併願パターンとしては、1日校が着実に合格できたのが、とても良かった。

神奈川の民にとって、引っ越しでも想定しない限り、1月には「通っても良いと思える学校」の合格を貰うのが地理的に厳しい。
しかし、「私立中学生になることは確定」という状況で2日以降を受験できたのは、大きかったと思う。
少なくとも、親のメンタルとしては。

長男くんにとって、通いたいと思った学校を並べて受験できたことも良かった。
基礎クラスからの入塾で、幅広い偏差値帯の学校に憧れてきたことが、結果的に併願上でかなり+に働いたと思う。

…思えば、偏差値が全然足りない頃から目指していた学校に向けて、長年、よく頑張ってきたものだ。

ブログの名前にも使った「蛍雪の功」。

一般的な意味は、「苦労して勉強に励むこと、またはその成果」だけれど。
私は別の意味を込めて、名前に使った。

特殊な技能を磨くのでもない限り、「勉強に励む」なんていうことは、現代ではある意味、当たり前だ。
でなければ、生きていけない。
そして、目標を持てば、人間はある程度は頑張れるもの。

でも、蛍や雪の明かりを使わなければならないほどの目標は、普通、目指せない。
頑張るより先に、どうせ無理だと諦めてしまいたくなる。
しかし息子達には、そんな高い目標を持つことの出来る男になって欲しいと思った。

長男くんは、私のそんな願いの通りに、中学受験の世界では、おまけに当時の彼の成績からは無謀とも言えるほどの目標を掲げて、受験の日まで頑張り通すことができた。
その夢が破れた当日であっても、最後の最後まで、諦めずに前を向いて勉強した。

大した男だ。
幼かった我が子が、ここまでの気概を見せられるまでに成長したのか。

そんなことを思いながら、ふと「受験が終わったんだなぁ」と言ってから、どちらからともなく抱き合って、お互いを讃えた。

昨日、スイッチに負けた台詞をもう一度言ってみる。

3年間、一緒に勉強してくれて、頑張ってくれて、ありがとう。
パパは、本当に、幸せだった。

「ボクも、勉強も受験も、楽しかった。落ちた学校も行きたい学校だったけど、やれるだけ頑張れた。受かるかもってところまで出来たし、後悔はしてない。通える学校も、本当に行きたい学校だから、すごくうれしくて楽しみ!」

あぁ、良かったな。
お前にとって、とても良い受験になったんだな。

まだこのとき、少しだけ私には苦い思い出だった、不合格の結果。
それが、だんだんと彼の笑顔で塗りつぶされていく。

楽しかったな。

長男くんの中学受験、彼の伴走。