パパと読書

2022年11月16日水曜日

塾システム 生活

話題の本を読んでみた

長男くんは現在小5、そして我が家にとっての初の中受生。
彼が小6になる前に、出来る限り小6のときの流れも把握しておきたい。
彼に対して、少しでも質の良いサポートができるように。

そんな風に思っていたので、発売前に話題を見かけたあたりから気になっていたから読んでみた。

勇者たちの中学受験


(Amazon紹介文引用)中学受験最後の3週間、そして、人生で最も長い1週間といわれる入試本番期間中の、親子の濃密な心情を克明に描いた衝撃作!
親子3組の実話をもとにしたノンフィクション物語であり、真剣勝負のルポルタージュでもある。
実話を元にしたということで、まさに受験直前にどうなるのかという話をインターエデュとかよりも赤裸々に見られるのかな、と読んでみた。

重版出来も決定、ということでネタバレをしないように感想を考えてみる。

率直な感想

あんま、ハマんなかった。

たしかに壮絶な体験談だな、という気はするけど、それは去年の入試期のネットからも察せられるくらい。
受験のとき、単純に学校の移動だけ考えたって大変なのは、文化祭で大体回った今となっては想像つくし。

受験前から結果発表までが語られるから、期待外れ、というわけではなかったけれど。
結果がどうなるのかな?というドキドキ感はあっても、ちょっとそれくらいだった。

なんでだろ?
なんというか、私にとって共感に足る登場人物があまり見当たらなかったからかもしれない。

最期に筆者の解説?に記載があったのだけれど、筆者には中受に一石を投じたいという狙いがあったそうだ。
うーん、そこの点に、私はそもそもそんなに問題意識を感じてもいない。
なんかそういうのが透けて見えるようなルポだから、あまり共感できなかったのかも。

塾の光と影?

よく分からないけど、中受っていうのは過熱傾向なのかなぁ?
中受生は増えているとは聞くけど。

とはいえ、私自身が体験した高受・大受だって、似たような構造に思うし、塾だって普通にある。
中受は親が決める余地が多いとはいっても、むしろ高受・大受の方が市場規模は大きいんじゃないか?
そのとき、塾としては多くの顧客へ一番のアピールポイントになるのはおそらく合格実績なのだろうし、であれば、その合格実績を稼ぐというのは営利企業としては普通だと思う。

なにやら、体験授業受けただけだったり、ちょっと講習受けたりしただけでも実績としてカウントする塾がある、というのは知っているけれど。
でも、実際、授業一回でも受けたんだったら、別にカウントしたっていいんじゃない?

受講生側だって、その塾に通っていて望む成果が得られているなら恩義を感じて、合格実績に貢献するべく行動するファンも一定数いるだろうし。
Appleとかでも信者とかいって普通にいるよね。

そのあたりを問題だと指摘している感じを受けたのだけれど、そこから一段深く考えて、何が問題なのかという点が、よく分からなかった。
普通の、企業努力とその結果のファンの行動じゃないの?

小学生使って営利しちゃダメ?
いや、まさか、そんな。

さすがに「灘ツアー」とかになると、すげぇな、とは思うけれど。
でも、塾側が強制連行しているっていうなら話は別でも、受講生側も保護者含めて納得して行っているんでしょ?

合格実績稼ぎという塾側のメリットはあるにしても、受験生側だってメリットは十分にあるんじゃないのかな?
要は前受でしょ?

私は関東にしかいたことのない人間で、灘っていうのは時々問題で見かける程度でよく知らないけど、R4偏差値を見る限りはかなり難しい学校で、開成や筑駒を受ける子にとっては遠征してでも価値があるほどの経験というだけなんじゃ?

そこら辺の感覚がよく分からないからか、ピンと来なかった。

別にルール違反を犯しているわけでもないのに、「本当に行く気のある学校以外を受けるのは周りに迷惑である」っていうのは、正直よく分からない。
本当に行く気がある学校のために、不正行為以外なら、出来ることは全てするのが受験、というか真剣勝負ってもんじゃない?
「本命校だけ受けたら20点加点」とか言うなら、そうするだろうけどさ。

それに、単純にカッコよくない?
灘、開成、筑駒に全部受かるとかって。
オレがもしそんなのが狙える成績の12歳だったなら、狙ってみたいけどなー。
自己肯定感爆上がりっしょ。

だって、皐月賞、日本ダービー、菊花賞を取るみたいなもんでしょ?
三冠だよ、三冠。

他に共感できる部分がないわけじゃなかったんだけど、ここら辺は特によく分からなかったな。

なんで響かないんだろ?

というわけで、私は、登場する親たちにあまり共感することなく終わってしまったし、巻末の作者解説もよく分からなかった部分が結構あった。

反感・反論というよりも、本当に純粋に、「何の話をしているの?」っていう感じ。

あー、私自身のときも、子ども達のときも、合格実績とかで塾、選ばなかったからかな。
だってアレ、ごく一部の成績優秀層の結果じゃん。
大多数には関係ないっしょ。

塾に入るかどうかの参考にはならなくない?
フツーは参考にするのかな?

私的には、そこの塾でどんなことを学ぶのか、居心地がいいのか、生活が送っていけるのかが大事、だと思っていたんだけど。
…この本的には、それはきっとマイノリティだったのかな?

私自身のときは、中学のときはそんなに塾自体がなかった。
だから選択肢もない。
高校のときは、たまたま無料体験のチラシを見て行った予備校が、当時の私にはとても居心地が良くて決めた。
どちらも、合格実績は見てすらいない。

長男くんのときも大してリサーチしなかった。
そもそも日能研の見学を申し込んだのは妻で、私は付いていくくらいの気持ちだった。

それで、入塾は許可された後で少し考えはしたけれど、まだ電車に一人で乗ったことにすらない彼、場所的にあまり選択肢がなかった。
入塾テストもあまり良いとは言えない成績、他の塾を試したって受かるかもわからない。
動き出しが遅かったから、他に回ってみる時間もそもそもなかった。

それに、日能研の勉強に対するスタンスの説明が、私は気に入ったのだ。
「中学以降も見据えた思考力を養う」とかいうスローガンだったっけ、その内容のポエミーさが。
当時、公文で反復練習をしていても、イマイチ彼には身についている感がなく、「思考力」という言葉にとても惹かれた。

そんなわけで、日能研全体の実績なんて見てもいなければ、他塾との比較もしていない。
通っている校舎の合格実績は見せてもらったものの、名前だけ分かる学校が2校あっただけだし。

そういえば、日能研全体の合格実績は今でも知らないや。
長男くんの熱望校たる聖光さんって、何人くらい入るんだろ?
…そうか、それを知っていると、順位も目安になるのかな?

受験勉強が楽しかった

ついでに、私は自分の成績や偏差値もほとんど気にしたことがなかった。

だって、楽しかったんだもの、受験勉強。
そりゃ、暗記めんどいな、くらい思うことはあったけど。

一浪が決まったときですら少し残念に思った程度で、「でも今年はやるだけやったな」と思って終わってしまった。
そして、その一浪の一年は「自分のやりたいレベルの勉強だけしていて良い」という、とても充実したものだった。

そんな感覚は、高受でも大受でも大して変わらなかった。
学校に行っている時間は、すごく無駄に感じていたけど。

出来ないことが出来るようになるのが楽しかった。
自分自身がどんどんレベルアップしていくような。
楽しいことばかりではなくても、その感覚がどんなゲームよりも面白かった。

息子達にもその感覚を味わって欲しい。
出来れば、私自身が、そのサポートやリードをしたい。

中学以降じゃなきゃ勉強なんてマジメにやらないだろうから、サポートも出来ないかなーと思っていたけど、深く考えずに入れた中受の世界は、思っていたよりもずっと難しいことをやるカリキュラム。
だから、希望が3,4年早く叶った。

とりあえず今はそう思って、この『こちら側』な生活を楽しんでいる。

ブログに書いたりしているから長男くんの成績は自分のときよりは見ているけれど、やっぱりあんまり気にしていない。
実際に改善対象にするのは、その成績になった理由、理解できるようになった部分やできていない部分、テストの解き方の方だから。
それに、まだ全部の範囲を勉強し終わってもいない、5年の成績だしなぁ。

志望校

そんな風に今は思ってはいても、直前期にはやはり私も息子達の志望校の合格や偏差値だけに目が行ってしまうのかな?

それは、正直分からない。
少なくとも、長男くんの希望が叶うように、と心の底から願いはするだろうけど。

長男くんの熱望校である聖光さんは、神奈川の男子校で一番R4偏差値が高い学校だというのは知っていても、じゃあそこに長男くんが入ることが私にとって必須条件か、というと現時点の気持ちではそんなことは全然ない。

もちろん、落ちればいいとか、実は私はあんまり好きな学校じゃないとかは思っていないけれど。
だって、私がしているのは、したいのは、彼の伴走だもの。
私の責務は、彼が、彼の希望に向けて、挑戦できるように協力すること。

その生活が楽しいのだから、もうそれだけで私には十分じゃあないか?
彼を表す肩書が「聖光生」であろうとなかろうと、私にとって長男くんは長男くんなのは変わらない。
イヤでしょ、そんなんで接し方が変わる家族。
まして、頑張ったって届かないかもしれないなんてことは始めから分かっているわけだし。

それに、幸い、文化祭を回って、「ここなら長男くんに通ってもらってもいいかな」と思える学校は、試験日程が埋まるくらいには見つかった。
どこに合格しても、どこに行くことになっても、親は喜べそうだ。
どこかに合格できれば、の話だけれど。

まぁ、これから1年と約2ヶ月、どんなことが起こるかは分からないけれど、せいぜい楽しませてもらおう。